シリアル、がちょっとしたマイブームである。
牛乳をかけて、すこしだけ待つと、すこしだけ柔らかくなるのだ。銀のスプーンを手に、白と黄色の、液体と固体のやつを、ガツガツやる。
おいしいと素直に感じるし、「アメリカドラマの子どもの朝食みたーい」と、たましいも小躍りしている。いや夜食だけど。
食べ終わった後の、シリアルの糖を存分に吸収した牛乳も好きだ。
冷たくて、甘くって。いまのきせつにぴったり。
恥も外聞も知ったことか、器を両手で持ち上げて、全部飲んじゃうのだ。
ただ、それは、
シリアルを、白いお皿とかではなく、
つやつやした汁椀なんかで食べているからなんだけれど、
牛乳に濡れた汁椀の、
朱色の底面は、
歪んだ鏡のように外光を反射させて、
照明の白色が汁椀の縁に沿った円弧を描き、眼をひとつ、引き裂いている。
目と鼻の先にあるその顔は、
どうにも不満足げで、気だるそうで。
「いったいぜんたい、なにが不満なんだい君は」
と、問いかけてみたくなったりする。
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