「だって仕方がないじゃないですか、ぼくはこのゲームのパーティメンバーのHPを回復させてやるたびに、ぼく自身のSPが回復するのを心から感じてやまないんですから」
しかたがなくない。
そう強く念じながら、わたしは彼の前から立ち去った。
背後から聞こえてくる彼の声色に、変化はない。
「だって仕方がないじゃないですか、これは呪術的な力であり世界の法則なんです、RPGのパーティのHP回復でリアルのぼくのSP回復……」
しかたがなくない。
それから半世紀と五年が経ったが、彼と再び相まみえることはついぞなかった。
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